令和7年3月、東京都内で芸術選奨贈呈式が行われました。
演劇、映画、音楽、放送など12部門、文部科学大臣賞24名、文部科学大臣新人賞22名と2組が受賞されました。
なかでも私が注目したのは、演劇部門と大衆芸能部門です。
演劇部門では、大臣賞を俳優の浅野和之氏と歌舞伎俳優の坂東彌十郎氏。新人賞を俳優の江口のりこ氏と演出家の藤田俊太郎氏が受賞。
大衆芸能部門では、落語家の立川談春氏と柳家喬太郎氏。新人賞を活動写真弁士の坂本頼光氏と作曲家の渡邉琢磨氏が受賞しました。
坂東彌十郎氏は、何故簡単に挨拶を引き受けてしまったのかと反省し緊張しています、と言いながら
「本日は、大変名誉ある賞をいただきまして、まことに有り難く光栄に思っております。
こういうものには縁が遠いと思っておりましたので喜びもひとしおでございます。私は子供の頃から歌舞伎は大好きだったのですが、大きくてボーっとしておりまして、子役には向いていない大人の役で出られるまでは修行を続けなさいと言われ、初舞台を踏めたのは17歳の時でございました。
父の亡きあと、三代目市川猿之助のもとで、海外公演のこと、舞台の演出のこと等色々と勉強させていただきました。
そののちも、先輩方に色々お教えをいただきまして、ひきたてを賜って現在に至っております。
先輩方は、この受賞を機に、弥十郎おまえはまだまだまだまだだ、もっともっともっともっと勉強しろ、修行しろと言われることと思います。
この年になって、もう賞などいただけないものと思っていたのが、こうやっていただけて、改めて気持ちを引き締めて、更なる目標に向かって進んでいきたいと思います。本日は、誠に有難うございました」と挨拶されました。
そして贈呈式のあと、活動写真弁士の坂本頼光氏にお話しを伺いました。
坂本氏の受賞理由は、寄席定席における活弁ほかの成果です。
「寄席の定席に出るようになって3年目。今回の受賞を寄席の仲間たちがとても喜んでくれました。真っ先に知らせたのは、昨年度受賞された小すみお姉さんでした。
ずっと映画が好きだった自分にとって、幼い頃から見てきた映画は母親、そして演芸として鍛えてくれた定席は父親のような存在。この両親に恩返し出来るように、これからも頑張りたい。
そして今後、現在20人ほどの活動写真弁士での席ももてたら嬉しいですね」
とのことでした。
活躍の場所は違いますが、おふたりとも華やかな舞台の中心にだけいたわけではありません。でも、地道に努力を重ね経験を積んでの受賞。今回の受賞をきっかけに、今まで以上にそれぞれの場で、更に活躍しまた次の目標に向かって進んでいかれることと思います。
こういう方々も、ちゃんと認められるのは嬉しいですね。
以上